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年少日記
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中盤でこのドラマのネタが明かされるが、ポイントは”利き手”。 最も心を動かされたシーンは、教師である主人公が女生徒(委員長)と本音で向き合って夜別れるシーンで、彼が手を差し出すと彼女が彼に身を寄せて抱き合うシーン。この抱擁は映画のテーマでもある。ピアノの練習がうまくいかなくて、女性のピアノ教師から肩をそっと抱かれるシーンも同じ。兄がベッドの上で弟を後ろから抱擁するシーンもそうだ。 この教師が、妻(そばかすが広末涼子さんに似ている)と離婚協議中であることも抱擁の裏返し。妻の妊娠がわかって、父親になる自信がないと告白する主人公。彼はずっと親からいい成績を求められる道具として育てられ、両親から本当の愛を受けたことがなかった。愛が何かということを自分でも理解できていない。 「エデンの東」と同じだ。兄と弟の違いはあるが、どんなに努力しても父親から愛されない弟と優秀な兄。兄と弟が逆転することで、本作の後半が展開してゆく。教師は左利き、子供の頃の兄は右利きだ。 教師が生徒の中に遺書を書いた者がいることを、強く自分の生い立ちに重ねる。子供の頃の日記に「自分がいなくなればいい」というメッセージは、家族の崩壊を意味する。どんなに努力しても親に期待に応えられず、留年して弟と同じクラスになる兄。その兄がクラスで嘲笑されても、うんざりした目線で見つめる弟。 ドビュッシーの「夢」もこの映画をうまく演出している。子供の頃に描く「夢」は儚い。ピアノの練習でも”利き手”が印象的に使われている。 冒頭、階段を上って屋上から少年が飛び降りる。ラストでも主人公が屋上に上って幼い頃の兄と対話して終わる。子供の頃から成長していない自分と、自分とはまるで違う兄との対話こそこの映画のテーマではないか。大人になっても癒えない子どもの頃の傷はある。
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