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コラリー・ファルジャ監督の豊かな表現に圧倒される。最初に目玉焼きに注射してたまごがふたつになる不思議なシーンを示し、主人公のエリザベス・スパークがスターで映画館前の床に名前が飾られるシーンを俯瞰で捉える。この星(スター)がホームレスに踏みつけられ、雪がつもり、ひび割れをおこし、極めつけはバーガーのケチャップが血のように散らばる。このシーンだけで映画は極まっていると思う。全てを語るオープニングシーン。 デミ・ムーア演じる主人公へ、長い長い廊下(人生を意味するのか)を行き違うスタッフが彼女へ誕生日をお祝いする。この皮肉。彼女がトイレに入ると、そこにデニス・クエイド演じるプロデューサーが現れて、カメラにドアップの口元を映す。この男はトイレのあと手も洗わずに部屋を出る。 このあと驚くような展開で、主人公は若返りを果たす。投薬により、別の若い存在が体から生まれてくる。この痛々しいシーンで、別の存在と人格を取り戻す。しかし若さに偏り過ぎて、現実の体がどんどん老いてゆく。面白いのは、一人の人間の中にある多重人格性。お互いは同じなのに対立する関係へと変化する。人間の価値が二分してゆく恐ろしさ。逆に主人公が孤独になってゆく恐ろしさ。老いという恐怖もここに頭をもたげる。 同級生と再会するため、何度も何度も化粧をしなおし、出かける寸前で家のドアに映る自分の醜い顔を見て再会を断念するシーンも印象深い。人は自分をなかなか客観視できない。 最後は「エレファント・マン」を凌ぐ恐ろしい怪物へと変わり果てる主人公。そして血まみれになる劇場、肉の塊となった主人公が再び冒頭の星の形におさまり消えてゆく。なんという残酷なシーンだろうか。 女性監督が織りなすの見事な映像表現と、誰にも抗うことができない”老い”という現実を、極めてグロテスク且つ印象深く描く。注射シーンや肉の塊が放つ音響や音楽の使い方もすごい。
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