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鑑賞日 2025/04/23  登録日 2025/04/24  評点 62点 

鑑賞方法 映画館/東京都/TOHOシネマズ日比谷 
3D/字幕 -/-
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当時と印象が変わる

当時この映画を映画館で見ておらず、ビデオ鑑賞したときとても残念な思いがあった。伊丹作品が「お葬式」「マルサの女」以降、受け狙いのエンタメ作品が鼻につく印象だった。この映画もその類に感じた。

しかし、映画館で30年近く前の作品を鑑賞すると、伊丹十三監督の狙いが強く伝わってきてとても価値ある傑作であることに気付かされる。4Kリマスタリングされたこともあって、素晴らしい作品だった。

そもそも伊丹作品は、彼自身が命を落としたとされる陰謀説も含め、タブーに切り込む作品を手掛けてきたことを再認識する。この作品も、現代だったらなかなかスポンサーがつかない作品かもしれない。

そしてもうひとつ注目するのは、伊丹作品における影の使い方が印象的だ。特に「マルサの女」がそうだったように、人物の表情に影にしたり、この映画でも人物の目線にスポットを当て、背景や表情を暗くするなど緻密な演出が光る。

何より、群像劇としても秀逸なこの作品で、スーパーの店員に吃音の青年を組み込むセンス。店が分裂しようとするとき、この青年のひとことが心を打つ。対して、ライバル店からリベートをもらう矢野宣さん演じる店長の演技も見事。伊東四朗さんはじめ、主人公の側から対立するキャラがいいと印象が深まる。キャスティングもまた伊丹十三作品の特徴。大島渚監督がキャスティングで映画を作る人だったこととも重なる。

その意味では宮本信子さんと津川雅彦さんのコンビは、伊丹作品の軸だ。このふたりの呼吸が多くの伊丹作品を支え、見る者を酔わせる。少し間違えるとテレビドラマで落ち着きそうな内容でも、このふたりが出てくれば映画館に足を運ばせたくなるような気分になる。

最後にトラックのチェイスシーンが長く見せられ、これこそ映画館で見る迫力あるシーンだった。