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鑑賞日 2025/04/19  登録日 2025/04/19  評点 90点 

鑑賞方法 VOD/YouTube 
3D/字幕 -/-
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冤罪劇

二人連れのカウボーイがやってくると犬が横切る。そしてラストシーンもまた同じ。内容もすごいのだが、これだけ密度の濃い映像、そして多くの人物や馬が活躍する西部劇の迫力に圧倒される。ちなみに牛は鳴き声しか聞こえず登場しない。

なんと冤罪劇である。

集団によるリンチ。罪のない三人の牛追いを問い詰め、根も葉もないことをでっち上げて首吊りにする。いまでこそ死刑制度がないアメリカだが、日本に置き換えれば「マミー」「いもうとの時間」「拳と祈り ー袴田巖の生涯ー」などのドキュメンタリーに直結するが、なによりクリント・イーストウッド作品のルーツとも言える内容となっている。(思えば彼の作品の多くは冤罪を扱う)

恐ろしいのは多数決で絞首刑にするか決めるシーン。反対者少数により違法は私刑は執行されるのだが、民主主義が必ずしも正しいとは言えないことを示す。現代もまた同じ。

最後に私刑となったひとりが妻に宛てた手紙を主人公のヘンリー・フォンダが読み上げる。そこには集団で私刑にした人々の悪口は書かれず、彼らは罪を背負い生き続けるだろうと綴っている。この私刑をリードした南北戦争の名残りが抜けきらない少佐は狂気のあまり自殺する。私刑となった者たちは、許しをもって私刑賛成者に罪を追わせようとしたのだ。なんということだろうか。

第二次大戦中に作られたこの映画の狙いは、リンチそのものではあるまい。空気に流されて真実を見失ってしまう愚かな人間たち、それはすなわち我々自身の深層心理をえぐるためにこの映画が作られたと考えるしかない。