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エミリア・ペレス
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ミュージカル映画はこうあるべきだ、という学びを与える作品だったと思う。関係者の発言などで、評論家やメキシコ国内の著しく低い評価はともかく、映画のそものは歴史に名を残す傑作だと思う。 かつて「サウンド・オブ・ミュージック」や「メリー・ポピンズ」あるいは「ウェスト・サイド物語」にも政治的への強い抵抗力を映画にぶつけていた。「キャバレー」や「ファニー・ガール」もそう。インド映画「きっと、うまくいく」や「PK」など教育や宗教についての批判を音楽でオブラートに包み表現する手法を強く支持したい。 その意味でも、この映画は”政治の汚職”を真っ向から批判しており、暴力が社会を支配し人が普通に殺される社会をダイレクトに示すものだ。手術を請け負う医師が”考え方を帰るべき”と問えば、エミリアの弁護士リタが”体を変えること”を強く主張するシーンは、政治の形を変えることへと重なり合う。ジェンダーが肉体を変えることと、政治がリセットされるべきことをこの映画は厳しく主張していると思う。 しかし、これもまたジレンマに引き剥がされる。妻と子供を一度はスイスに避難させながら、自らの希望で招き寄せるエミリアは、妻がほかの男と再婚すると言い出してかつての麻薬王に豹変する。これにセレーナ・ゴメス演じる妻は力付くで対抗するという矛盾は、エミリアが過去を捨てて慈善事業で名声を獲得することと対比的だ。 すごい これは他人事ではない。自らの権力に溺れ、男性であることを利用して女性を蔑視する社会。エミリアが好意を寄せる死んだ男の妻との同性愛的な関係なども含め、複雑に絡まり合う権力闘争は、中立であることを意識した弁護士のリタに委ねられてゆく。彼女もまた、権力に身を寄せる貧しい弁護士だった。これもまた皮肉だ。 われわれの社会は常に為政者や権力者を監視することを求められている。それを強く意識させる作品だった。権力に抵抗する作品を多く手掛けたジャック・オーディアールに敬意を評したい。
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