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何も考えずに見ればアンビエントな映画、という説もあるが、この美しい映像をそのまま飲み込むのは困難。極めて難解な映画。 とにかくこれまで見たアニメとはカメラのスピード感がまるで違う。猫の後ろからものすごいスピードで追いかけるカメラがその猫を追い抜き、猫の表情を捉えながらさらに加速する。空中や水面あるいは水中のシーンもそうだが、この映画の勝利はカメラワークだ。 そして冒頭で、猫が見上げる大きな木に船が引っかかっている。ポスト・アポカリプス(文明崩壊後)の世界がここでチラリと視覚に入り、猫が猫のオブジェが乱立する家に帰るという不思議なシーンへと進む。そして鹿の群れが過ぎたかと思うと津波が押し寄せ猫を付け狙う犬たちともども飲み込んでしまう。災害と災禍。文明が滅び人間のいない世界で生き抜く動物たちの世界は、いわゆる擬人化された動物劇とは異なる動物そのものの世界だ。彼らは言葉を発することがない。 大きな感動は、仲間とこじれた鳥(船の舵をとる)が最後再び空に旅立つシーンと、おおきなクジラが水位変動で陸揚げされたときの目。このクジラのその後、ラストシーンに心を撃たれる。衝撃的なラスト。傷ついて行き場を失った動物たち、そして木にぶら下がる船を救おうとするシーンは、現実にはありえないことではあるが、このとき猫が接した大きなクジラが見つめる目が何度もカットバックされるシーンは深い印象を残す。 かつて多くの作家が取り組んできた「水」というテーマ。黒澤明もタルコフスキーもこの水というテーマに生涯を捧げたが、ギンズ・ジルバロティス監督もまた潜在的に「水」に向かい合っているようだ。科学や数式では答えの出せない「水」は時に優しく、時に猛威を振るう。こうした地球環境と滅びゆく文明を対比し、我々がいま存在するこの社会に何かを突きつけている。
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