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鑑賞日 2025/03/30  登録日 2025/03/31  評点 60点 

鑑賞方法 映画館/東京都/TOHOシネマズ西新井 
3D/字幕 -/字幕
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誰もが猿を受け入れる

「PLANET OF THE APES/猿の惑星」のおかげでこの映画が成立していることを強く意識させる。主人公の猿、この猿を誰もが自然に受け入れる。父も母も祖母も。そしてアイドルグループの仲間も彼の存在を猿としてではなく人として認める。この語り口が素晴らしい。社会はますます"見た目”で判断されるルッキズム社会が支配しようとする中、猿のような主人公が普通に生活する姿に惹き込まれてゆく。

前半のクライマックス、船上でニコール・アップルトンとの出会いのシーン。メンバーから疎外されたロジャーと出会う美しいシーン。ここでも彼女は猿であることを意識しない。彼の才能に惹かれてゆく。

友人の月給と同じ額のドラッグを数分で吸い込んでしまうロジャー。大スターが背負う苦悩は「ボヘミアン・ラプソディ」や「ロケット・マン」にも重なり合う。そしてこの2作品と本作が重なるのは父親の存在。シナトラに憧れる父親を見て育ったロビーは、フレディ・マーキュリーやエルトン・ジョンも同じ。父親不在を補い自信をつけてくれた祖母との関係にも涙。祖母がロビーの成功を認知症で認識することができなかった皮肉も痛い。

ウェンブリーのコンサート、そしてロイヤル・アルバート・ホールで父親と「マイ・ウェイ」を歌うシーンで感動の極みに至る。「ベターマン」になりたい孤独に、「マイ・ウェイ」で答えを出すというオチは、誰にでもある親との葛藤を消化するものだ。