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それから(1985)
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夏目漱石の映画化は必ずしも成功作品ばかりではないが、自分の知る限り、この映画を超える漱石作品はこれから出てこないだろう。それほどまでに芸術の粋を集結させた傑作。藤谷美和子さんの美しさが極まる映画だった。素晴らしかった。 「家族ゲーム」から交流のある森田芳光監督と松田優作さんがタッグを組んで、裏ではサンダンスの古澤利夫氏が20世紀FOXに在籍したままでこの映画を企画したという。まさに奇跡の映画だ。 胸を締め付けるような物語もさることながら、映像表現と長回しによる緊張感の高いシーンがいくつもあって圧倒される。敢えて苦言を呈するとしたら、音楽はばっさり切ってもよかったのではないか。緊迫した長回しの告白シーンなどは、セリフと映像だけで十分だ。やや音楽が邪魔をしている。しかし音楽そのものはとても素晴らしく、男女の心理を揺り動かすようなメロディもまた素晴らしい。 ふたりでラムネを飲むシーンが最も印象的で、三千代(藤谷美和子さん)が立ち上がって縁側から彼女の足元が影で映り、再び座るまでの長いシーン。ここで三千代が口にするラムネの瓶のエロチシズム。被写体がお互いに視線を合わせようとしない「家族ゲーム」などで多用されたシーンも印象的だ。 他人の妻に心惹かれるドラマだが、実は夫である平岡の代助に対する嫉妬心がこの人間関係の背後にあるようだ。それが妻への暴力となって爆発する。ろくに仕事もせず、実家に寄生する代助の出自と才能に憧れる平岡の物語でもある。 藤谷さんがお召になっている和服やほかの人物のファッションも実に素晴らしい。そしてユリの花をはさんだふたりの愛情を描くシーンは、ユリの香りが画面から伝わってくるような美しさだった。これもまたエロスだ。
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