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野生の島のロズ
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ラピュタを踏襲したことと、動物表現の美しさについては革命的で斬新な映画だった。素晴らしかった。 ただ、ドラマとしては少し苦しい内容だったと思う。特に越冬するのに生存競争をやめて「休戦」する、とロズが提案するシーンは、まさに世界のあちこちで起きている戦争を思わせるし、彼らが集う場所はまるでノアの方舟をも連想させるのだが、かなり強引な部分だ。 「囚人のジレンマ」「パレート最適」を意識させるもので、特定の利益を優先すると全体の不利益になる現実を示す。そもそもロボットがその最適をまるで神のように推し進めるというのも無理がないだろうか。なぜならロボットもまた愚かな人間の作ったものだからだ。 ロズとブライトビルとフィンクという3つの個体が家族を構成するドラマではあるが、生まれたばかりのブライトビルがロボットを母としてしまうというストーリーを否定はしないが、冷静に考えるとこれもまた陳腐に思えてしまう。 ただ、冒頭にも書いたとおり、アニメーションとしての斬新さは見事に伝わる映画だった。蝶や鳥の大群が飛び立つシーンの美しさは映画館で見ることで感動が大きい。スケールの大きな映画ではあるが、矛盾とジレンマを抱えた映画でもあったと思う。
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