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リアル・ペイン~心の旅~
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とにかく、 ベンジーの横に「The Real Pain」の文字が出て終わるシーンに涙が止まらなかった。いまもってその理由がわからない。そういう映画だ。 いとこ同士がポーランドの祖母の家を訪ねるツアーだが、ガイドとツアー客の団体行動の中で、様々なドラマが展開する。ルワンダのジェノサイドを経験してユダヤ教を信じるようになった黒人、家族の誰からも相手にされない孤独な女性、そして極めて保守的で平凡な老夫婦に、生真面目なツアーガイド。 トゥームストーンを観光中にベンジーがガイドにクレームをつける。事実の羅列では意味がないと。それを受けて、ガイドはクライマックスのアウシュビッツで、ほぼ何も語らずにツアー客をアテンドする。言葉を失う人たち。最後に捕虜が履いていたたくさんの靴が映される。このあとベンジーはひと目もはばからず大泣きする。 かたや真面目なデヴィッドは奇想天外な行動のベンジーに戸惑い、夜も眠れず遅刻するほど。しかしデヴィッドの心配をよそに、ベンジーはいつも時間前に集合場所にいる。二人が落ち合う空港から、心配性のデヴィッドと気ままなベンジーは別人格だ。慌ただしくするデビッドこそ、現代人としてストレスの大きい存在で、レストランの食事でデヴィッドがベンジーのおかしな行動を謝罪すると、向こうでベンジーがピアノを弾いている。 不器用で社会から疎外されているように見えるベンジーこそ本物で、語り部である主人公のデヴィッドこそ病んでいるのではないかと思わせる展開。しかしラストでベンジーは再び孤独に向かってゆく。 ここまで書いても、なぜこの映画にこれほど胸が痛くなるのかわからない。それは、ベンジーがもしかしたら自分だからかもしれない。電車に連れられてゆくユダヤ人のように。
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