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チャイナタウン
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午前十時の映画祭14にて鑑賞。 何度見ても見応えのある多重構造のサスペンスと高いファッション性に印象深い音楽。非の打ち所のない映画だ。 ネタバレになるが、 1、水道局部長の不倫疑惑から殺人事件へ。 2、水道事業を独占する有力者への疑惑。 3、近親相姦。 大きくはこの3つの事件を探偵であるギテスの目線で暴かれてゆく過程を見る側は追いかけることになる。 ポランスキー自らチンピラ役で出演し、その雇い主が街の実力者であるジョン・ヒューストン演じるノア・クロスという関係性も憎い。そしてクロスが自分の孫であり娘でもあるキャサリンを探すための企みであったことが最後に暴かれ、実の娘であるフェイ・ダナウェイ演じるイブリンを巻き添えにした悲劇へと進んでゆく。結末を知って見ても心をかきむしられる思いがする。 冒頭、妻の不倫写真から始まるこの映画は、ギテスのオフィスに大きくルーズベルト大統領が飾られている写真を示す。マンハッタン計画(「オッペンハイマー」に詳しい)を主導したルーズベルトの時代と、この映画が作られたニクソンの時代は大いに重なる。その絶大な権力ですべてを握りつぶす。いずれの大統領も任期途中で交代(死亡と辞任)したことが共通するうえ、この映画のノア・クロスとも重なり合う。 極めて偶然ではあるが、来年2025年に就任することが決まっているアメリカ大統領もまた性行為などの犯罪をすべて握りつぶすために権力の座に就こうとしているが、民主主義という制度そのものが疑われる現代にあって、この映画が掘り下げる多重構造は、「歴史は悪い方向に繰り返す」と示唆しているようにも見える。 50年前の映画とは思えない現代性を感じさせた。
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