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碁盤斬り
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白石和彌監督初の時代劇。古典落語の人情噺「柳田格之進」をそのままドラマ化したようだ。途中、小泉今日子さん演じる吉原の女将が「大晦日までに返してください」と約束するシーンは「文七元結」に由来する。 揺るぎない清廉潔白さで不器用に長屋暮らしをする主人公と娘を巡る話し。商人の源兵衛と碁の対極をするが、姑息な打ち手を嫌って格之進はわざと負ける。それほどまでに正々堂々とした対局を望む。 格之進が師範の道を閉ざされたのはその清廉潔白さの度が過ぎて、彼を嫌う大勢の者の先鋒として柴田兵庫(斎藤工さん)が格之進に濡れ衣を着せたことによる。さらに兵庫は格之進の妻をも死に至らしめる。余談だが彦根藩は井伊大老の膝下で大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台。 素晴らしい演出と素晴らしい俳優陣の名演に圧倒される素晴らしい映画だが、出色は終盤、仇の兵庫の首を格之進がはねる。その後、懇意にしていた源兵衛と弥吉が誤って格之進を疑ったことをお互いが庇いあい、男子の約束として首を捧げるシーン。兵庫を一太刀で切った刀の行く先をギラつかせる素晴らしいシーンに息を呑む。 仇の兵庫がつぶやく「水清ければ魚棲まず」はこの映画を突き詰めたものだろう。清廉潔白の度が過ぎて、自らの首や娘の立場をも危うくする輪廻は、いまの社会にもあって当然。 しかし、汚職や手練れの度が過ぎるのも如何かとも思う。世の中は常にバランスを求めんと欲す。 主人公がラストシーンで旅に出ることの意味も察する。生涯修行。生きることは苦悩の連続なのである。
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