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鑑賞日 2023/07/08  登録日 2023/07/08  評点 65点 

鑑賞方法 映画館/東京都/角川シネマ有楽町 
3D/字幕 -/字幕
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依存

酒のためならどんなことでもする。
レスリーがひとり酒場で酒を飲むシーンの心地よさはわかる。この映画では主人公のレスリーを演じるアンドレア・レイズボローの素晴らしい演技に飲み込まれて失われそうになるが、どんなことに対しても依存することの恐怖を描く。酒、金、そして愛。愛は特にこの映画で息子のジェームズへの愛が軸となる。息子へのかけがえのない愛。しかし、その息子に「自立しろ」との責められて追い出される母親レスリー。

社会は自立しない者へ厳しい。そして依存に陥る者はつねにその原因を他者へぶつける。そんな依存症に社会は冷たい。

映画の9割は落ち込むほどに凄まじい利己的で依存症に陥るレスリーを中心に描くが、そんな彼女を不幸にしたのは宝くじに当たったことだ。射幸心を煽る社会は時として大きな幸運を人にもたらすが、それもまた依存の一種だ。何もかもが資本の原理に吸い寄せられ自滅する。

そんな彼女を救うのは誰か?そして本当に救われるのか?

「ドライビング・バニー」にも似た母親失格を描く作品だが、母親が失格するような状況に追い込むものは何なのか?を掘り下げる映画だったと思う。