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グラン・トリノ
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10年ぶりに見たこの映画を見て、自分の10年を重ねる。かつて自分も車をぶっ飛ばしていた時期がある。しかし今は車どころか自転車も持たず、自分の足と交通機関だけを頼りに生きている。主人公のウォルトに訪れる死もまた身近なものになってきた。そういう意味でこの映画の「グラン・トリノ」は若さの象徴であり、若さゆえに犯した罪を手繰り寄せるものにも見える。 老いたウォルトが隣に移り住んできたモン族の少年と交流する過程で、ベトナム戦争の苦い記憶を蘇らせるシーンは、今見ると苦しくなる。10年前に見たときあまり意識しなかったシーンかもしれない。戦争で子供の顔を撃って勲章をもらう。彼自身と彼を戦争に向かわせたこの国の矛盾を浮き彫りにするシーンだ。フォードの自動車工として勤め上げたデトロイトを走る車は日本車ばかり。彼が口汚く紙タバコを吐き続ける忸怩たる気持ちは大きな社会変化によるものだ。世の中は変わり変わらないのは自分だけ。 それでもこの映画の救いは神だ。 かつて「ダーティ・ハリー」で罪を犯した者の権利をめぐり逡巡する主人公は、時を越えてウォルトに重なる。彼が最後に手にした銃は人差し指。その指に反応して銃撃する街のチンピラは囚われてゆく。ウォルトはこの死に際で手から血を流す。まるでキリストの磔刑のように。 ここに彼の罪は許された。長い年月をかけて彼が内面に抱えて生きてきた贖罪がここで解放されるのだ。誰にでもある二面性をこの映画は丁寧に描く。そしてそれは誰にもあるものだと思う。
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