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アリー/スター誕生
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バーブラ・ストライザンドの『スター誕生』も素晴らしかった。しかしあれから40年以上経って、現在の『スター誕生』が進化して生まれ変わった。進化には様々な要因があるようだ。もともとクリント・イーストウッドで予定していた企画をブラッドリー・クーパーが受け、イーストウッドが推薦したビヨンセをクーパーがレディー・ガガにしたことでこの成功に至ったのだ。 まず、全く予備知識のない中で、ほかの映画の予告編でこれに接した。それは、この映画でアリーが突然ステージに呼び寄せられて歌う曲を最初から最後まで流すだけの予告編。これはこの映画のベースが誰にでも知られていることを前提とした戦略であろう。そしてまさかこの主人公がレディー・ガガであることに予告編の時点で気づかなかったのだ。すっぴんの彼女を大画面で見たのはもちろん初めてのことだ。この曲のこの奇跡的なデュエットでこの映画の大半は成功している。とにかく楽曲と歌唱力の強さでこの映画は押しまくる。物語の普遍性を超越する現代性が生かされている。 これを鑑賞する前日、自宅で『ブルーバレンタイン』を見る。夫婦の出会いと破局を同時並行で見せる見事な映画。ここでも男女の立場が逆転するのだが、男女の価値観は結局交わらないことを意味している。男女が同じ価値観を維持し続けるためには、外的な要素、例えば家とか車とか子供とかペットとかの変化が必要で、いつこの関係が崩れても仕方がないという永遠のテーマが底辺にある。この『アリー/スター誕生』でも結婚とか犬とか家などが外的要因となる。外的要因が尽きる時、それはアーチストのパートナー関係の終わりであり死をも意味する。 『ラ・ラ・ランド』でとあれほど意気投合した二人は結局結婚することもできなかった。特に芸術や音楽などで強い価値観が衝突するとお互いが拒否反応を示す場合がある。結局は磁石のNとSのような関係が男女関係なのだ。あの映画でもお互いが自立する瞬間は、お互いがお互いから距離を置いた瞬間である。 そして本作のラストだ。 アリーはジャックのおかげで成功する。しかしその反対でアル中のジャックはどんどん衰退して最後に死んでゆく。死んだ瞬間に初めてアリーはスターとして独立できたのだ。その希望の表情が画面に大写しとなって映画は終わる。素晴らしいラストシーンであった。 アーチストの誕生はある意味で影響を受けた人物や支援者からの離脱である。ジャックがマネージャーの兄と仲たがいになる関係こそがお互いの成長でもあるのだ。 このようなありきたりで当たり前と思えることが難しいことをこの映画は語る。 『ボヘミアン・ラプソディ』にも言えることだが、映画技術の大きな進化によって、音楽にまつわる映画を映画館で鑑賞することの価値も高まっているように思う。これは明らかに映画館で大勢のお客さんとともに楽しみ感動を共有すべき映画だ。
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