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イ・チャンドン

  • Lee Chang-dong
  • 監督/脚本/製作
本名
出身地 大邱市
生年月日 1954/04/01
没年月日

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略歴

【韓国新世代からも支持されるニューウェーヴ系文化人】韓国、大邱市の生まれ。1980年に慶北大学師範学部国語教育学科を卒業後、81年から87年まで高校の教壇に立つ。この間の83年に小説家デビュー。92年までに数々の文学賞を受賞し、また大邱時代には7年間の演劇活動も行なっていたという。93年、友人である社会派監督パク・クァンスの誘いに応じて脚本兼助監督で映画界に参入。その力量が認められ、関係者間で“監督デビューを支援する会”も発足された。やがて映画仲間と制作会社を設立し、97年、やくざ映画のかたちで高度成長に伴う家族崩壊の様相を浮き彫りにした「グリーンフィッシュ」を初監督。国内の観客・業界・映画賞各方面で絶大な支持を得るというセンセーショナルなデビューを果たし、海外の映画祭でも複数の受賞に輝いた。監督第2作「ペパーミント・キャンディー」(99)は韓国のアカデミー賞とされる大鐘賞の主要部門を独占したうえ、カンヌほか多数の国際映画祭に出品。続く「オアシス」(02)がヴェネチア映画祭で監督賞に輝き、監督作3本にしてアジアを代表する作家とみなされた。2003年にはノ・ムヒョン政権下で文化観光部長官に就任し、文化政策に専念することになったが、07年に「シークレット・サンシャイン」をカンヌへ出品し映画界に復帰。旧作同様に多数の国内映画賞に輝き、アジア映画が対象のアジア・フィルム・アワードでは作品賞・監督賞ほかを受賞した。その後は韓国芸術総合学校や京都造形芸術大学で教鞭をとるなど後進の育成にも努めつつ、10年の新作「Poetry」(原題)ではカンヌ映画祭の脚本賞を受賞している。【韓国現代史を見据える文芸作】世代交代を果たし商業主義に傾いていく韓国映画界にあって、芸術性と商業性を両立させる数少ない監督。その登場期は90年代末~00年代の主流である“386世代”と重なるものの、80年代は小説家として文化人運動に励み、その限界を感じ転じた映画界の出発点が韓国ニューウェーヴに属するパク監督の下、という点で、精神的には80年代ニューウェーヴの後継者と考えられよう。小説家時代の延長にある文化人なのである。「ペパーミント・キャンディー」は話法をひねった青春回顧、「オアシス」は特異な恋愛ドラマ、「シークレット・サンシャイン」は不条理な悲劇と、その作品では常に文芸性と大衆性とが保たれる。一方で光州事件を掘り起こし、障害者の自我を見せつけ、信仰の無力を示すなど、韓国社会が封印してきたものをあらわにすることで現代社会への問いかけを行なった。いずれも糾弾や強烈な主張といった体裁は取らず、物語の詩情のうえで象徴的に語られる。こうした良質さが年配層の観客にアピールし商業的な成功を導きつつ、386世代以降の作家主義者たちからの敬意も集めた。また主演者にはことごとく映画賞をもたらし、「オアシス」のムン・ソリがヴェネチアの新人俳優賞、「シークレット・サンシャイン」のチョン・ドヨンがカンヌの主演女優賞と、韓国俳優の知名度向上にも寄与している。

キネマ旬報の記事

2019年2月上旬号

「バーニング 劇場版」:対談 イ・チャンドン[監督]×松永大司[映画監督]

2012年2月上旬特別号

「ポエトリー アグネスの詩」:イ・チャンドン[監督]インタビュー 醜いもの美しいものの裏にある美しさを探して

2008年6月下旬特別号

キネ旬チョイス 「シークレット・サンシャイン」:イ・チャンドン[監督] インタビュー

2005年3月上旬号

対談:イ・チャンドン×河合隼雄 「韓国文化交流の未来」

2004年2月上旬号

フロント・インタビュー:イ・チャンドン

2000年10月下旬号

企画特集 韓国映画特集:イ・チャンドン(「ペパーミント・キャンディー」) インタビュー