疎遠だった両親の事故死によって、幼い弟が突然目前に現れた少女が、人生の選択に悩みながらも成長し、姉弟の絆を深めていく感動作。監督は本作が長編2作目となるイン・ルオシン、脚本はヨウ・シャオイッグ。新鋭の女性作家がタッグを組み、現代の中国社会の背景にある一人っ子政策と家父長制の影に真正面から切り込んだ。叔母から「夢なんか捨てて弟を育てなさい」と養育を押し付けられて葛藤する主人公のアン・ランを演じるのは岩井俊二監督作「チィファの手紙」(2020年)に出演した新世代スター、チャン・ツィフォン。弟役のダレン・キムは映画初出演にして、観客が号泣するほどの名演を見せた。中国本国でコロナ禍の21年に公開されるや、2週連続No.1を獲得。中国版アカデミー賞とされる金鶏奨ほか、国内の映画賞で女優賞をはじめ数々の賞を受賞した。