1959年11月14日深夜、カンサス州西部の村ホルカムで、この地方の名士として人望を集めていたクラター家の4人が惨殺されるという事件が起った。トピーカに本部を持つＫ・Ｂ・Ｉ（カンサス捜査局）のベテラン刑事であるビン・デューイー（ジョン・フォーサイス）はじめ、腕ききの刑事たちが、ただちに捜査を開始した。だが、一見してまったく犯罪の動機のみあたらないこの不可解な事件は、手がかりもないまま空しく時がすぎ、迷宮入りかと思われた。しかし、事件の手がかりは以外なところから表れた。かつてクラター家の使用人で、カンサス州立刑務所に服役中のフロイド・ウェルズが囚人仲間だったディック・ヒコック（スコット・ウィルソン）という男にクラター家の金庫について話したことがあるというのだ。そのディックが出所してクラター家を襲ったのではなかろうかと仮設が立てられた。捜査線上に、このディックと、友人のペリー・スミス（ロバート・ブレーク）の2人が浮かんできた。捜査陣は色めきたった。そして、12月30日、事件発生後1カ月半経って、ペリーとディックは、別件でラス・ベガスにて逮捕された。彼らはクラター家にあるはずの金庫を狙ったのだが、奪った金はたったの40ドル、発作的に一家を虐殺してしまったのである。その後、2人はアメリカ中西部からメキシコへと旅をし、あちこちで車を盗み、強盗を働き、小切手を偽造して歩いていた。刑事たちは、たくみに2人の自供から証拠がためをし、ついに殺人罪で起訴した。1960年3月22日、2人の裁判が開始、死刑の宣告を受けた。その後、2人は何度となく上審したが、罪をまぬがれるはずもなく、1965年4月14日関係者一同の見守るうちに、絞首刑に処せられた。