初秋のロンドン。大富豪の結婚記念パーティで、1人の着飾った紳士が女性たちの目をひいた。彼ジャック・ローズ(バート・レイノルズ)は、中華料理店を経営する実業家だが、それは表向きの姿で、実は宝石泥棒である。完全な手口で警察を煙にまく彼はまた、盗んだ宝石を巧みに現金化するということでも有名だった。その彼が、ある神秘的な美しさをもつ女性に目をつけた。意味ありげな視線を返す彼女にますます熱をあげたジャックは、執拗に追いかけ、彼女がジリアン(レスリー・アン・ダウン)という女泥棒であることをつきとめた。翌日、ロンドン警視庁のウィリス主任警部(デイヴィッド・ニーブン)を訪ねる1人の女性がいた。なんとジリアンである。彼女は、ジャック逮捕を停年前の大仕事と決めたウィリスが美人に弱いジャックにさし向けたオトリだったのだ。彼女は手くせでやった泥棒で捕えられ、政治家である父へのスキャンダルをネタに、ウィリスに利用されていたのだ。それから数日間、ジャックとデートを重ねたジリアンは、彼に恋心を抱く自分を感じた。ウィリスが立てた計画は、1500ポンド相当のダイヤや原石を輸送の時に強奪するという話をもちかけ、その現場を押さえるというものだった。ジャックへの愛と警察の目の板ばさみに悩むジリアンだったが仕方なしに計画を実行していった。決行の前日、アラビア人に扮したジャックとジリアンはアントワープに赴き巧みに警察の追跡をかわし、郊外の小屋へ向かう。そこには黄色のワーゲンが用意されており、ジリアンがドライバーの役目をかって出る。ダイヤモンド輸送当日のロンドン。バッグに入れられたダイヤ原石は、一路アントワープに向かった。一方、時同じくして別の空港から1機のHー125型機が飛び立った。ジャックの仲間エルンスト(パトリック・マギー)と黒人のファーガスン(アル・マシューズ)が操縦する、ダイヤを積んだ輪送機と同じ小型機だ。無線を利用し、本物のダイヤを積んだ機をジャックらが待つアムステルダム空港に向かわせ、エルンストらが乗ったニセモノを積んだ機をウィリスらが待つアントワープ空港に到着させるという計画はまんまと成功し、ジャックらは本物のダイヤを手に入れた。このウィリス警部の失敗は新聞などでも報じられ彼はイギリス中の笑い者になっていた。一方宝石を手にジリアンと共に悠々と船の上でくつろぐジャックの元に、1人の客が乗り込んできた。それは何とウィリス警部。実は、この強奪計画の真の主犯者は彼だったのだ。ジャックが盗んだのも実はニセもので、本物をもっているのはウィリスで、彼は、それを現金に替えるためにジャックの力が必要と考え、結果的にはお互いに協力しあってこの計画を実行したことになるのだった。