1984年、スーダンに生まれたグオル・マリアル。だが彼が8歳の頃、スーダンはどこもが戦場で、子どもはさらわれ家は燃やされていた。そんななか、両親は苦悩の末、グオルの命を守るために彼を村から一人で逃がすことを決意。戦場をさまよい歩くグオルは、やがて武装勢力に捕まってしまうが、ある日の夜明け前、走って逃げ出すことに成功。その後4年間スーダン南部を放浪する。幸運にも難民キャンプで保護された彼は、16歳でアメリカへ移民するチケットを手にする。高校に入学した彼は、走ると他を圧倒。その後、初めて走ったマラソンで2012年ロンドン五輪出場資格を得る。だが、南スーダンが建国されたのはロンドン五輪開催の一年前。国内オリンピック委員会がなく、代表する国がなかった。グオルの出場は危ぶまれたが、国際オリンピック委員会(IOC)が“国のない男”といわれた彼の個人参加選手としての出場を認め、祖国南スーダンの人々の期待を背負って走ったグオルは完走する……。