真珠湾攻撃から数ヵ月後の1942年、太平洋で戦闘中の米潜水艦グレイ・フィッシュ号艦長バーニテ・ドイル中佐(グレン・フォード)の心は重かった。日本軍マニラ占領以来、基地に残した妻ジェーン・(ダイアン・ブルースターター)と3人の子供たちの消息が不明なのだ。副長アーチ・スローン大尉(アーネスト・ボーグナイン)以下の部下達の心も暗い。グレイ・フィッシュ号の目標は、日本軍が誇る超大型空母信竜だった。艦は目標を求めて駿河湾から東京湾に潜入、駆遂艦の攻撃や暴潜網、爆雷の集中攻撃などを突破して、めざす信竜を発見した。しかし作戦本部からの無電で、信竜は輸送船を楯に使っており、それにはマニラ近郊の収容所にいたアメリカ人が乗せられていることが判明した。ドイルの妻子も乗っているのだ。スローン副長の中止進言に歯をくいしばりながらも、ドイルは魚雷攻撃を命令した。火をふいて沈んだのは輸送船だった。海上に救いを求めるアメリカ人たちを、救助することは出来ない。激しい爆雷攻撃の中を、爆沈を偽装して艦は必死に脱出するのがせいいっぱいだった。妻子を殺したショックからドイルは三日三晩意識を失った。ハワイの基地で、司令部勤務をすすめられながら、ドイルは僚艦ブルーフィン号と再び宿敵信竜を求めてキスカに向かった。信竜はそこに巨体の碇を下していた。キスカ湾の警戒は厳重をきわめ、艦は潜望鏡を防材にひっかけて浸水した。その上爆雷の雨が海中にふりそそぎ、ついに艦は魚雷連続発射ののち海底に座礁した。必死のブルーフィン号による救助作業により、艦員達は辛うじて救けられた。湾内は砲火によって地獄と化していた。しかし、一路ハワイへと潜水するブルーフィン号の潜望鏡には、沈みゆく宿敵信竜の7万トンの巨体が、はっきりと確認された。