1849年、アメリカ・メリーランド州ドーチェスター郡。ブローダス一族が所有する農園の奴隷として、幼い頃から過酷な生活を強いられている“ミンティ”ことアラミンタ・ロス(シンシア・エリヴォ)。彼女の願いはただ1つ、いつの日か自由の身となって家族と共に人間らしい生活を送ることであった。そんなある日、奴隷主のエドワード・ブローダス(マイケル・マランド)が急死。借金返済に迫られたエドワードの妻エリザと跡取り息子のギデオン(ジョー・オルウィン)は、ミンティを売りに出す。遠く離れた南部に売り渡されたら、もう二度と家族には会えず、お互いの消息すらわからなくなってしまう。悲運を察知したミンティは、農園から脱走。神の導きと夜空に輝く北極星だけを頼りに、奴隷制が廃止されたペンシルベニア州を目指すのだった。執拗に追いかけてくるギデオンからなんとか逃げ切ったミンティは、州境を越え、フィラデルフィアの反奴隷制協会にたどり着く。そこで奴隷制度廃止運動家ウィリアム・スティル(レスリー・オドム・Jr)と運命的な出会いを果たし、ミンティはハリエット・タブマンという新しい名で自由な一市民として新たな人生を歩み始めるのだった。だが、いまだに夫のジョン(ザッカリー・モモ)や、奴隷として酷使され続けている家族と離れ離れのままでいる状況に苦しみ続けていた。脱走奴隷であることが露見すれば自由どころか命さえ失いかねない危険な状況だったが、ハリエットは愛する家族を救出するためにメリーランド州に戻ることを決意。やがて、奴隷制度廃止運動家たちの秘密組織“地下鉄道(アンダーグラウンド・レールロード)”の一員となったハリエットは、奴隷の逃亡を手助けする“車掌”として働き始める。そんななか、逃亡奴隷法が制定、奴隷主たちに州外に逃れた元奴隷たちを連れ戻す権利が認められる。ギデオンや懸賞金稼ぎの奴隷ハンターたちに追われるなか、ハリエットは果敢にも幾度となくメリーランド州に舞い戻り、数多くの奴隷たちを自由の地へと導いていく。いつしか彼女は、ユダヤの民を率いてエジプトから脱出したモーセになぞらえ、“黒人たちのモーセ”と呼ばれる存在となっていた……。