オランダ・アムステルダム。1988年5月13日金曜日、午前3時。孤高の天才ミュージシャン、チェット・ベイカー(ティーヴ・ウォール)が、宿泊先のホテルの窓から落下して死亡した。現場に駆けつけた地元の刑事ルーカス(ハイス・ナバー)は、うつ伏せの状態で頭部から血を流している遺体を確認するが、その時、男が落ちた窓に謎めいた人影を目撃する。しかし殺風景な部屋の中には誰もおらず、机にはドラッグ用の注射器などが散乱、床にはトランペットが転がっていた。すぐさま捜査を開始したルーカスは、チェットが前夜に出演する予定のライブ会場に姿を見せなかったことを知る。彼の身に何が起こったのか。マネージャーのピーター、医師のフィールグッド、ルームメイトのサイモン、そしてチェットの最愛の女性サラから話を聞いたルーカスは、チェットのずたずたに傷ついた心の闇に触れていく。そんななか、チェットがドラッグディーラーから借金返済を迫られていた事実が明らかになる……。