戦国時代の中国。弱小の国・沛（＝ペイ）は、領土の境州を奪った強大な炎国と休戦同盟を結んでから20年。再び攻め込まれるのではないかと脅える日々を送る沛国内部は、若き王(チェン・カイ)を筆頭とする平和派と、重臣・都督（ダン・チャオ）に従う開戦派に二分されていた。そんなある日、都督は王の許しを得ず、炎国の楊蒼（＝ヤン・ツァン）将軍に境州での対決を申し込む。王は激怒するが、高貴で知略に富み、国民からも尊敬される都督に対して、面と向かって叱責することはできなかった。早逝した先王の後を継ぎ、自分が無事に王位に就けたのは、都督の功績でもあったからだ。ところが実は、王の前にいるのは都督の影武者だった。母と生き別れになり、飢えて行き倒れていた8歳の彼を、都督の叔父が拾い、影武者（ダン・チャオ：二役）に育てたのだ。1年前、都督が病になったことを隠すため、影武者となった彼が現れたのだが、瓜二つのその顔には、王さえも騙されていた。境州の奪還計画を進める都督は、影武者に“楊蒼を殺せば、自由の身だ”と約束する。翌日、影武者は都督の筋書き通り、楊蒼に宣戦した己に厳罰を下すよう王に求める。これにより無官となった影武者は、“自分は一介の民。楊蒼と対決しても、王とは無関係”と伝えると、楊蒼との対決に備え、自宅で傘を武器にした武芸の技を磨く。一方、王は和平のため、妹の青萍（＝チンピン）を楊蒼の息子に嫁がせようとするが、交渉は決裂。同じ頃、影武者は都督の妻・小艾（＝シャオアイ／スン・リー）の助言を受け、傘をしなやかに使う技を習得していた。対決の日が近付き、交差する様々な思惑。同情が愛に変わった小艾は影武者の身を案じ、都督は忠実な家臣・田戦に“本当の作戦”を打ち明け、参戦を命じる。そして影武者は、都督の館で過ごす最後の夜、小艾に重大な告白をする。そして訪れる対決の時。影武者は1人、大軍の待つ敵地へと向かうが……。