鎌倉・長谷の海岸で地引網を営む93歳の漁師・繁田(加藤茂雄)はすでに妻を亡くし、東京で教師をしている一人娘・智子(渡辺梓)が月に数回顔を出す程度だが、綱を引く手はいまだ現役で悠々自適の一人暮らしをしている。しかし、徐々に老いと漠然とした孤独感に苛まれていた。そんな夏の初め、カメラマンを目指している若い娘・由希(宮崎勇希)が、働く繁田の姿を写真に撮り、気さくに話しかけてくる。今は亡き祖父も漁師だったという由希は、それからも浜辺を訪れるようになり、繁田と親しくなっていく。二人は海を歩き、祭りを楽しみ、鎌倉の古寺を巡り、かけがえのない時間を共有していく。そんなある日、浜辺で逢瀬を楽しむ繁田と由希の前に智子が現れ、二人の関係は思いがけない方向に……。