ブータンの中部ブムタンにある小さな村。16歳のゲンボは、1000年以上もの間、家族が代々受け継いできた寺院を引き継ぐために学校を辞め、戒律の厳しい僧院学校に行くことについて思い悩んでいた。一方、自らを男の子だと思い、ブータン初のサッカー代表チームに入ることを夢見る15歳の妹・タシは、自分の唯一の理解者である兄に遠く離れた僧院学校に行かないでほしいと思っていた。そんななか、ゲンボとタシの父は、子供たちが将来苦労することなく暮らせることを願い、ゲンボには出家し仏教の教えを守ることの大切さを説き、タシには女の子らしく生きる努力をすることを諭すのだった。思春期の子供たちは自分らしい生き方を模索するが、それが何かはまだわからない。急速な近代化の波が押し寄せるブータンで、子供たちの想いと親の願いは交差し、静かに衝突する……。