イタリア移民の家系でエジプト・カイロに生まれ育った少女ヨランダ(スヴェヴァ・アルヴィティ)。幼い頃は、いつも周囲の視線を気にしてひとりぼっち。眼鏡姿をいじめられ自分に自信を持てなかった彼女は、16歳で自らを苦しめていた眼鏡と決別する。その数年後、ヨランダは“ダリダ”として、ミス・エジプトの栄冠に輝いた美貌とそのエキゾチックな歌声で、フランス全土に社会現象を巻き起こし、一躍スターの座に上りつめていた。ビジネスパートナーのルシアン(ジャン=ポール・ルーヴ)は妻帯者であったが、ふたりは愛し合いやがて結婚。だが、そのわずか1か月後、ダリダは画家のジャン(ニールス・シュナイダー)と新たな恋におちる。そんな彼女への世間の風当たりは強かったが、弟のブルーノ(リッカルド・スカマルチョ)のサポートもあり、歌手として成功を収め、元夫のルシアンとも友人としての絆を取り戻していくのだった。新恋人のイタリア人歌手ルイジ・テンコ(アレッサンドロ・ボルギ)と過ごす音楽祭の夜。スターとしてステージに立つダリダの影で、一次審査で落選したルイジは絶望し、「人間は死に向かって生きる存在だ」という尊敬するハイデガーの言葉を実行してしまう……。数年後、絶望から立ち上がったダリダは、アラン・ドロンとのデュエット曲『あまい囁き』を発表。それが大ヒットし、ドロンとの熱愛発覚と騒がれた時も、新恋人のリシャール(ニコラ・デュヴォシェル)に夢中だった。出会いと別れに傷つきながらも、その全てを歌にのせてステージで輝き続けるダリダ。しかし、再び悲しい別れが彼女を襲う……。