2017年、謎に満ちた画家ヒエロニムス・ボスの没後500年を記念したイベントが世界中で開催された。その最高傑作にして美術史上最も異彩を放つのが、スペイン・プラド美術館所蔵の三連祭壇画『快楽の園』。エロチックでグロテスクな“天国と地獄”が所狭しと描かれた奇想天外な世界。ボスは誰のために、何のために描いたのか。プラド美術館全面協力のもと、カメラは“悪魔のクリエイター”とも呼ばれたボスの創作の謎と素顔に迫る。赤外線分析で判明した下絵、緻密な筆遣いと顔料の秘密、現代に受け継がれなかった古楽器、そしてキリスト教との深い関係……。多方面の専門家の解説から『快楽の園』に込められた思想と、ボスの情熱が浮かび上がる。