野生動物の楽園、アフリカで、ハンターは茂みに身を隠し、息を潜める。風下にいることを確認しながら獲物との距離を詰め、スコープを覗き込み、息を殺す。高鳴る鼓動を感じ、数秒後、乾いた草原に発砲音が鳴り響く。大きな動物が倒れこむ音が聞こえ、仕留めたばかりのキリンが力なく横たわり、ゆっくりと首を振る。その横で歓喜に溢れるハンターたち……。2015年、SNSに投稿された、アメリカ人歯科医師と殺されたばかりのライオンを写した写真が世界を怒り狂わせた。現在アフリカ諸国では獲物の毛皮や頭だけを目的に動物を狩猟するレジャー“トロフィー・ハンティング”が一大観光資源となり、野生動物が合法的に殺されている。ナミビアでハンティングをするドイツとオーストリアからのハンターたちは悪びれることなくハンティングへの情熱を語り、ハンティング・ロッジを経営するオーナーは地域への貢献とビジネスの正当性を主張する。そして、サファリをガイドする原住民たちは黙々と毛皮を剥ぎ、肉を解体する。オーストリアの鬼才ウルリヒ・ザイドルが独自の映像メソッドで、トロフィー・ハンティングの実態を描き出す。