パリの高校で哲学を教える50代後半の教師・ナタリー(イザベル・ユペール)は、同じ哲学教師の夫ハインツ(アンドレ・マルコン)と、独立している二人の子供がいる。パリ市内に一人で暮らす母イヴェット(エディット・スコブ)の介護に追われながらも、ナタリーは充実した日々を過ごしていた。ある日、その才能を誇れる教え子・ファビアン(ロマン・コリンカ)と久しぶりに会ったナタリー。彼は、ナタリーの授業で哲学の面白さを知り、教師になった若者だが、既に教師を辞め、執筆をしながらアナーキスト仲間と活動を共にしていた。そんななか、同士ともいうべき存在の夫ハインツが、結婚25年目にして「好きな人ができた」と唐突に告白し家を出て行ってしまう。そして母は認知症の症状が悪化し、施設に入ることに。さらに母が溺愛していた猫のパンドラを、猫アレルギーのナタリーが飼うという現実も待っていた。生徒たちを家に招き、映画に行き、ナタリーは日常を楽しむべく日々を重ねるが、ある日突然、母が亡くなってしまう。夫と別れ、母は亡くなり、バカンスシーズンを前にナタリーは一人となった。長い付き合いの出版社は、売上第一主義に舵を切り、著作の契約も終了。しかしナタリーは、孤独だからこそ得られた自由を確認するかのように、猫のパンドラを連れ、ファビアンが仲間と暮らすフレンチ・アルプス近くのヴェルコール山へと向かう。だがここでもナタリーに新たな別れが待ち受けていた……。