1950年、まだ戦争の爪痕が残る中、タイから大阪市天王寺動物園にやって来たアジアゾウの春子。当時まだ2歳だった春子は熱烈な歓迎を受け、以来60年以上に亘り大阪の人々に愛され続けてきた。だが2013年夏、炎天下の運動場に出るのを嫌がり始め、冬には春子の食事を抜かなければならない事態が発生。その人気の陰で飼育員にとって初めての経験が相次いでいた。老いと闘いながら来園者の前に立ち続ける春子だったが、2014年6月20日から展示場に出なくなる。推定年齢66歳、国内2番目の高齢ゾウ・春子は立っているのがやっとだったのだ。そして7月30日に起立不能。倒れたままでは自らの重みで肺が圧迫され呼吸が厳しくなる。倒れた春子をなんとか起こそうとする飼育員たち。懸命の治療を続けるも同日午後6時1分、春子は永眠する……。