2013年1月17日夜、ボリショイ・バレエ団の元プリンシパルで、時として論争の的にもなっていた芸術監督セルゲイ・フィーリンが自宅の外で覆面の男から襲撃され、硫酸を顔面に浴びる事件が起こった。重傷を負ったフィーリンは失明の危機に瀕する。世界的に有名なロシアの劇場が受けた打撃は計り知れないが、ソリストのパーヴェル・ドミトリチェンコが逮捕及び起訴されると、個人間の対立、勢力争い、嫉妬、性行為要求の疑惑、金銭問題などがバレエ団に渦巻いていたことが明るみに出る。市民からの抗議が殺到し、数人の団員が退団または解雇されるなか、ロシア政府は秩序を回復させるため、ウラジーミル・ウーリンを新総裁に任命した。9月19日、ウーリンは回復中のセルゲイ・フィーリンとステージに上がり、新シーズンの主要演目を発表するが、過去に組んだことのある2人はお互いに反目していた。最初の公演から数日たっても、ダンサーたちのキャスティングに対する不満は収まらなかった。スキャンダルによって誇りと団結心を奪われ、混乱状態から解放されたいと願っていたダンサーたちは、リハーサルと公演に追われる厳しい日々のなか、ダンサーという職業の苦悩と喜びを語る。ドミトリー・メドベージェフ首相は、ボリショイ・バレエ団が国民文化に強い影響を及ぼす存在であり、世界にロシアを印象付ける秘密兵器であると認識している。ボリショイ・バレエ団は、独特な政治的シンボルであったが、ウーリンは「ロシア政府を後ろ盾とする人々からの干渉には断固抵抗する」と宣言。一方、フィーリンに対して抱く反感が打ち合わせで表面化する。政治的な陰謀や裏切りが横行するなか、ダンサーたちはあくなき情熱と厳しい鍛錬の日々に身を捧げ、完璧な舞台を見せるという夢を追い続ける。