78歳の坂口すちえは長女を病気で亡くし、夫も入院、精神的な混乱に陥っていた。すちえの心を静めるのは夥しい量の精神安定剤。息子の坂口香津美は、そんな母をより深く理解するためにカメラを向ける……。すちえが初めてヘルパーを部屋に招き入れた日から程なくして、50年連れ添った夫が他界。葬儀で上京した妹のマリ子は、失意と絶望の姉を郷里の種子島に連れて帰る。それは、すちえにとって38年ぶりの帰郷であった。太陽と海と緑に包まれた日々の暮らしの中、姉を立ち直らせるためにマリ子の献身的な介護と苦闘が始まる。4年に及ぶすちえの精神の混乱と葛藤。だが、すちえの表情に笑みがこぼれるその瞬間がついに訪れる……。