パリ、1931年。銀行家ヒューゴー(リチャード・E・グラント)の妻アナイス(マリア・ディ・メディルシュ)は、客として訪れたまだ無名の作家ヘンリー・ミラー(フレッド・ウォード)と出会う。自らその抑えきれぬ奔放な内面を日記に綴ってもいたアナイスは粗野で情熱的なヘンリーに強く魅かれ、ヘンリーもまた美貌の中に残酷さを秘めたアナイスの妖しい魅力に捕えられてゆく。しかしヘンリーにはニューヨークに残した妻ジューン(ユマ・サーマン)がいた。彼女は金持ちの男に体を委ね、その金で職のないヘンリーを養っていたのである。やがてパリにやって来たジューンに会ったアナイスは、その大胆で強靭な性格に不思議と強い魅力を覚え、男となって彼女を抱きたいという妄想を抱くまでになるが、一方ジューンはヘンリーの書いている小説のモデルになっている自分の姿が歪められていると怒り、ニューヨークへ帰ってしまう。やり場のない苛立ちの中でヘンリーは初めてアナイスを抱くが、彼女はその交渉をヒューゴーの横に寝ながら平然と日記に書き留め、自らを魔性の女かと記すのだった。今やヘンリーとの関係はなくてはならないものとなり、アナイスはその愛の中で自らの文学的資質を開花させ、また性的にも解放され従兄のエドワルドとさえ関係を持つ。ヒューゴーは妻の奔放な行動に半ば気がつきながら、しだいに彼女に引きずられるように解放されてゆく自分を感じていた。ヘンリーは『北回帰線』を書き上げ、感動したアナイスの支援により出版が決まるが、そこへ再びジューンが戻ってくる。アナイスは自らの愛を彼女に対して打ち明けるが、へンリーとアナイスの関係を知ってしまったジューンは激しく傷つき、2人の前から姿を消してしまった。そして、それに呼応するようにアナイスもまたヘンリーのもとから去り、ヒューゴーの所へと帰る。アナイスはヒューゴーと生涯夫婦関係を続けながら、ヘンリーとも交流を持ち、そしてその死後2人の愛を綴った彼女の著作が初めて公表された。