彼女(サラ・フォレスティエ)が久しぶりに故郷を訪れたのは、父の葬儀のためだった。葬儀を終えた彼女は隣家に足を向ける。その家には、男(ジェームス・ティエレ)が1人で住んでいた。彼女は男に“父の遺産整理をするため、姉と共にしばらくこの地に留まる”と告げる。だが、男の態度は冷ややかだった。かつて2人は、男と女の関係になりかけたことがあったのだ。まだこの土地で暮らしていた頃の彼女は、絶えず家族や周囲に怒りをぶつけていた。ある夜、パニック状態で駆け込んで来た彼女を男が泊めた。彼女は男を誘惑したが、男はそれを受け入れることが出来なかったのだ。苦い記憶を振り返る男をよそに、彼女は笑みを残して去って行く。一方で彼女は、父の遺産を巡って家族との確執を抱えていた。優しかった祖父が亡くなった後、いつも“優秀”で“最高”であることを求める父を疎ましく感じた彼女は、ずっと反発してきた。家族も気性の激しい彼女を持て余していた。“他に何もいらないからおじいちゃんが好きだったピアノが欲しい”という彼女の要求を、“兄の子供が使うから”という理由で姉は拒む。その夜、彼女は再び男の元を訪ね、亡き父や家族への苛立ちを、男への怒りとして爆発させる。彼女は男を挑発し、あの夜と同じように誘惑する。だが、それに応えようとした男を拒絶。やがて2人のやり取りは、掴み合いに発展する。その日から、彼女は毎日のように男の元を訪れるようになった。互いを言葉で罵り、やがて肉体同士の“闘い”へと発展。どちらかが力尽きるまで続く。彼女にとってその行為は、怒りや悲しみを解放するための儀式のようでもあった。回を重ねるごとに激しく、心と肉体を傷つけあうふたり。いつの間にかそれは、セックスよりも激しいエクスタシーをもたらすようになっていた。2人の行き着く先に待つものとは……。