昭和の初め、紅ショウガで飢えをしのいだ少年は、栄養失調で片目を失明したものの、姉が歌う『赤とんぼ』に光を見出し、4,000人のオーディションを勝ち抜いてスター街道を突き進む。戦争中は“歌い方が軟弱”と憲兵の弾圧を受けて大阪に逃げ延びるが、3度の空襲に遭遇。奇跡的に一命を取り留めたものの、戦後はヒット曲に恵まれず、ドサ回りで辛酸を舐める。ところが、やがて天下のツキ男の本領を発揮し始め、突然の大ヒットに加えて、ラスベガスのカジノで大当たり。さらに、ブルースマンとして日本で初めて電気ギターを持って歌うスタイルを確立する。戦前、戦中、戦後を駆け抜けたその人の名は、バタヤンこと田端義夫。浜村淳の名調子に乗って第2の故郷、鶴橋で繰り広げられる驚愕のステージ。歌に燃え、女に燃えてバタヤンの人生万華鏡がスクリーンに花開く笑劇の音楽ドキュメンタリー。