「虎の牙」で仏国の探偵小説家モーリス・ルブランの名は我が邦の愛活家の間にも知られるようになった。これもアルセーヌ・ルパンを主人公としたルブラン原著探偵小説ですでに原本は1919年保篠龍緒氏によって翻訳され金剛社から出版されて洛陽の紙価を高からしめている。これはその原作をW・スコット・ダーリング氏が脚色し、スコット・シドニー氏が監督し、古くユ社にあり近くは「正義の囁き」に出演したウェッジウッド・ノウエル氏がルパンに扮して撮影し、1921年1月早々発売された映画である。波乱は波乱を生んで興味の尽きるところを知らない程である。ウォーレス・ビアリー氏と、キャスリン・アダムス嬢がノウエル氏を助けて主要な役を演じている。ニュース誌は-ミステリーに満ち、活劇味に豊み、真に1流の探偵活劇である。-と激賞している。