フロリダ州オークランド発アトランタ行きの旅客機に乗り込んだウィップ・ウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)。一流の操縦テクニックを誇る彼は、この日も激しい乱気流を鮮やかに切り抜け、機体が安定すると副操縦士に任せて眠ってしまう。だが突然の急降下が、ウィトカーの眠りを破る。機体は制御不能、車輪を出し、燃料を捨て、あらゆる手段で速度を落とそうとするが、降下は止まらない。緊迫するコックピットでウィトカーは、機体を逆さまにする背面飛行を決行。高度は水平に保たれ、前方に草原が現れた。ウィトカーは機体を元に戻し、決死の不時着陸に挑む……。アトランタの病院で目覚めたウィトカーは、パイロット組合幹事のチャーリー(ブルース・グリーンウッド)から、102人中生存者は96人だと告げられる。高度3万フィートからのそれはまさに奇跡の着陸だった。しかし密かに付き合っていた客室乗務員のトリ―ナ(ナディーン・ヴェラスケス)が亡くなったと聞き、ウィトカーはショックを受ける。見舞いに来た友人のハーリン(ジョン・グッドマン)が、興奮して世の中の騒ぎをまくし立てる。マスコミがウィトカーの偉業を称え、彼は一夜にしてヒーローとなったのだ。翌朝、チャーリーに呼び出されたウィトカーは、弁護士のラング(ドン・チードル)を紹介される。フライト・レコーダーから、事故の真相は機体の故障だと解明されるはずなのに、なぜ弁護士が必要なのかと声を荒げるウィトカー。実は調査委員会で、ある重大な疑惑が浮上していた。事故後、乗務員全員に行われた検査の結果、ウィトカーの血液中からアルコールが検出されたのだ。それが事故の原因と特定されれば、ウィトカーは過失致死で終身刑となる。一方、10人のパイロットに挑戦させた事故のシミュレーションでは、全員が地面に激突、全乗客が死亡、ウィトカーの神の腕が証明される。だがマスコミが疑惑を嗅ぎつけ始める中、ある客室乗務員はウィトカーを命の恩人だと感謝しながらも、彼に有利な証言を断り、副操縦士はTVのインタビューで思わせぶりな発言をするのだった。心の拠り所だった一人息子にも罵られ、次第に追いつめられていくウィトカー。そして全てが白日の下にさらされる公聴会の日がやって来た……。