19世紀のアイルランド。上流階級の人々に人気のモリソンズホテルでウェイターとして働くアルバートは、人付き合いを避けてひっそりと暮らしていた。彼は長年、誰にも言えない秘密を隠していた。それは、貧しく孤独な生活から逃れるために、女性でありながら男性として生きてきたということだった。結婚せずに女性が自立するには、そうするしかなかったのだ。ある日、モリソンズホテルにハンサムなペンキ屋のヒューバート(ジャネット・マクティア)がやってくる。彼と相部屋になったことで素性を知られてしまうものの、自分らしく生きる彼の姿に影響を受けたアルバートは、自ら築き上げてきた偽りの人生を捨て、本当の自分らしさを取り戻してゆく。その一方、若いメイドのヘレン(ミア・ワシコウスカ)に対しては、自分の素性を隠しながらも好意を抱いてゆく。密かにヘレンと愛し合うようになっていたボイラー職人のジョー(アーロン・ジョンソン)は、その事に気づき、ヘレンを通じてアルバートを利用しようとする。働く女性にとって不自由な時代、男性として孤独に生き、女性としてのアイデンティティを見失っていたアルバートは、様々な人たちに囲まれながら、自分らしく生きる希望の扉を開き始めるが……。