米国中西部の小さな町グレンドーラ。当地の名門ダウド家の主人エルウッド(ジェームズ・スチュアート)は、ハーヴェイと称する6フィートの白兎と大の親友である――と自ら信じ込み、会う人毎にこの親友を紹介したがるので、彼と同居している姉のヴィタ(ジョセフィン・ハル)や彼女の娘マートル・メイ(ヴィクトリア・ホーン)は大いに閉口している。ヴィタは、マートル・メイの婿探しに名流婦人の茶会を催したが、エルウッドはチャーリーの酒場でいい御機嫌になって御帰館、兎を紹介しはじめ、会を滅茶滅茶にした。ヴィタは遂に彼を精神病院に入れることにしたが、病院の若い医師サンダースン博士(チャールズ・ドレイク)はヴィタを患者と間違えた上、エルウッドにすっかり共鳴してしまった。院長チャムリー博士(セシル・ケラウェイ)はエルウッドが帰ってからやっと彼が狂人であることに気づき、ヴィタを釈放する一方、、チャーリーの酒場に彼を追って行くが、これまたすっかりハーヴェイ党になって馴れぬアヴァンチュールにまで発展した末、兎の幻想に追われながら帰院した。一方エルウッドは酒場でサンダースン博士と看護婦ケリー(ペギー・ドウ)を結び付けてやったところを看護人ウィルスンに病院へ連れ戻され、ヴィタの願いで幻想の消える注射を打たれることになった。しかしこの時乗ってきたタクシーの運転手(ウォーレス・フォード)から幻想の消えた患者が如何に平凡な人間になるかを聞いて、彼女も初めてエルウッドの良さを悟った。入院はおろか注射も中止して、彼女とエルウッドは、見えざるハーヴェイともども心楽しく帰宅した。