テリイ・マーティンはエメリイ自動車会社の車体試験主任であった。彼の仕事は自動車の速力性能の検査であるが、その傍ら炭化器の新しい研究に没頭している。この研究は実現すれば、その界に革命をもたらす程のものである。会社の宣伝部にジェーン・ミッチェルという美しい娘が入社した。彼女は社長の姪であるが、身分を隠しているので社員達は誰もそれを知らなかった。テリイはジェーンを一目見て好きになったが、大学出の若い技師フランク・ローソンも彼女を愛するようになる。フランクは今まで同じ宣伝部のジョセフィン・サンダースという娘に親切にしていたが、ジェーンの入社後彼女を顧みなくなった。ジェーンはテリイの研究に興味を持ち、テリイには内緒でフランクにその仕事を手伝わせるように計った。テリイは恋敵であり、また自分と違って大学出の技師に苦心の結晶を見せたくなかったが、副社長の命令なのでやむなく協同で発明に従事せねばならなくなる。炭化器は完成の域に達したがテリイには未だ不安に思われるところがあった。しかしフランクの主張でインディアナポリスの自動車競争に出場し試験してみることになった。ところが優勝の一歩手前で車体に故障が起こり、テリイと助手のガジェットは大怪我をした。テリイはこの事でフランクを責め、彼を弁護するジェーンとも口論するに至った。テリイの退院後、新しい車体に彼の発明を取り付け、自動車速力の世界記録を破るスピード試験が催されることになった。テリイは見事往路で記録を破ったが、モーターから漏れる煙のため人事不省に陥った。それを見たフランクは、敢然自らその車を操縦して復路の記録も破って彼を病院に送り届けた。テリイは病院で自分の発明が成功した事を知った。同時にジェーンの身分と彼に対する本心を知り、発明の富と彼女の愛を一度に獲得した。そしてフランクはまた昔のようにジョセフィンと手を握り合う仲となる。