1943年のポーランド。下水修理と空き巣稼業で妻子を養っている貧しい労働者のソハ(ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ)は、収容所行きを逃れるために、地下水道に繋がる穴を掘っているユダヤ人たちを発見する。ドイツ軍に売り渡して報奨金を手にするチャンスだったが、迷路のような地下水道の構造を誰よりも知り尽くしたソハは、彼らを地下に匿い、見返りに金銭を得ることを思い立つ。ところが、子供を含むユダヤ人のグループは彼の手に負えるような規模ではなかった。面倒を見きれないほどその人数は多く、隠れ場所の移動や食料の調達さえ容易ではない。その上、執拗にユダヤ人狩りを行う将校が目を光らせ、ソハの妻子や若い相棒は処刑の恐怖に怯えるようになる。自らも極度の精神的重圧に押し潰されそうになり、手を引くことを決意するソハだったが、時既に遅し。同じ生身の人間であるユダヤ人たちに寄り添い、その悲惨な窮状を目の当たりにしてきたソハは、自分でも信じ難い、彼らを“守る”という茨の道を選択するのだった……。