父親から継いだ玩具会社を経営し、プール付きの瀟洒な郊外住宅に結婚20年の妻と息子が2人。何不自由ない生活を送っていたウォルター・ブラック(メル・ギブソン)だが、ある日突然うつ病になってしまう。カウンセリングも薬も音楽療法も催眠療法も効果なく1日中寝ている毎日。そんな彼の状態に家族も影響され、7歳のヘンリー(ライリー・トーマス・スチュアート)は小学校で孤立し、高校生のポーター(アントン・イェルチン)は「父親みたいにはなりたくない」とますます背を向け、エンジニアの仕事に没頭しながらも夫の快癒を願っていた妻メレディス(ジョディ・フォスター)にはもはや打つ手がない。家を出たウォルターが箱いっぱいに買った酒瓶を入れるため、車のトランクのガラクタを捨てたとき、ビーバーのぬいぐるみに目が止まり、なにげなく箱に入れる。ホテルのベランダから飛び降りようすると、左手に持っていたビーバーが「おい」と呼びかけてきた。ビーバーの声はウォルターが出しているのだが「お前の人生を救うためにやって来た」とビーバーは自信満々に語り、ウォルターがそのビーバーを左手にはめると、うつの症状がきれいさっぱり消え去る。自宅に戻ったウォルターは、メレディスに「彼とは普通に接し、会話は人形を通すこと」と書かれたメッセージ・カードを渡す。精気を取り戻したウォルターは会社でも社員の自由裁量に任せて発破をかける一方、木工に夢中のヘンリーにヒントを得て、新商品“ビーバーの木工セット”を思いつく。これが大当たりし、ウォルターは世間の注目の的に。そんなある日、結婚20周年を祝いに高級レストランに行く際にもビーバーを手放さない夫に、メレディスは今夜だけはビーバー抜きを主張するが、レストランでのウォルターは無口で上の空。その時、メレディスの携帯の着信音が鳴った。ポーターが友達のノラ(ジェニファー・ローレンス)とタギング(壁にスプレーで絵、文字等を書く)をし、警察に連行されたのだ。警察でノラと彼女の母親にウォルターがビーバーとして自己紹介したことで、ポーターの怒りが爆発、父子は掴み合いに。もはやメレディスは息子たちと家を出るしかなかった。次第にビーバーは暴君と化してウォルターを支配。そしてビーバーこそが自分と家族を引き離そうとする元凶であることに気づいたウォルターは、ある晩、ガレージの作業場にビーバーを連れて行き、小型の棺桶を作る。そして、この暴君を葬るにはこれしか方法はないと決意し、あることを実行する……。