17世紀スペイン・マドリッド。赤子の時にカプチン派の修道院の門前に捨てられ、僧に育てられたアンブロシオ(ヴァンサン・カッセル)は、その熱心さから町中の人が彼の雄弁な説教を聞きにやって来るほどの僧に成長していた。すべての欲を絶ち、規律を重んじるアンブロシオであったが、出生の謎とたまに彼を襲う頭痛に悩まされていた。ある日、傷ついた顔を覆うために仮面をかぶっているという、ミステリアスな見習い修道士バレリオ(デボラ・フランソワ)がやってくる。彼は、なぜかアンブロシオの頭痛を和らげる不思議な力を持っていた。しかし実は、バレリオは彼に近づく為に女性であることを隠している偽りの修道士だったのだ。バレリオが女性であることを知ったアンブロシオは、彼女を修道院から追放しようとするが、その折に虫の毒によって高熱を出してしまう。するとバレリオは病に伏し朦朧とするアンブロシオと自ら関係を持ち、その不思議な力で再び病を癒す。破戒僧となってしまったアンブロシオは、それ以来情欲の虜となり、愛欲に身を任せてしまう。そんな中、少女アントニエ(ジョセフィーヌ・ジャピ)がアンブロシオの元へ、病気の母へ説法を聞かせてほしいと懇願しにやってくる。美しく、無垢で慎み深い彼女は天使と見紛うほどで、その姿は何度もアンブロシオの夢の中に現れる少女そのものだった。アントニエをどうしても手に入れたいという欲望に負け、アンブロシオは、本性を表したバレリオの意のままに、黒魔術の力を借りる。そして、聖なる教会を黒ミサで汚し、強姦、窃盗、殺人とあらゆる悪徳に身を沈めていくのだった……。