これは盲目のピアニスト、ジョン・ヒルグローヴが作曲した音楽喜劇である。上流の家庭に生れたオリヴァー・ブラッドフォードは、許嫁ビートリスを連立って、ニュー・イングランドのへき村を訪れる。そこにはかつて栄華を誇った大邸宅の焼け残りのひとむねがあって、後家のミネットが住んでいたのであるが、幸福の家と呼ばれて多くの新婚夫婦が歳月を過ごしに来るのだった。オリヴァーは結婚したら来ると言って去ったが、結婚する前に彼は空の勇士として太平洋戦争に出征した。そして名誉の戦傷を負った。彼の美貌は無惨な醜さとなり、右腕は利かなくなった。傷心の彼はピートリスとは別れ、独りさびしく「幸福の家」に宿する。そこには村の処女ローラ・ポニントンが女中として住み込んでいた。彼女は薄汚い田舎娘だったが気立てが良く、傷ついた勇士のオリヴァーによく仕えた。また盲目のピアニスト、ヒルグローヴの温情も、オリヴァーの心を和らげた。いつかオリヴァーとローラの心と心は結ばれて、二人が共にあるときはお互いの醜さは失せて、美男と美女に見えるのであった。オリヴァーの母が夫とビートリスを連れて来たとき、彼等にはオリヴァー達の美しい幻想の世界は理解出来なかった。オリヴァーは彼等を追返した。そしてローラと結婚した。