キルギス共和国。天山山脈の麓、聖なるイシク・クル湖のほとりの小さな村。アンテナの調節や電気の修理から、時には貧しい家が無料で電気を使えるような細工まで行い、誰からも愛される“明り屋さん”(アクタン・アリム・クバト)と呼ばれる男がいた。彼は、妻のベルメット(アライカン・アバゾバ)と4人の娘に囲まれ、慎ましく暮らしていた。ラジオからは都会での政治的混乱のニュースが流れているが、村の暮らしは穏やかそのもの。そんなある日、都会から親友マンスール(スタンベック・トイチュバエフタリブ・イブライモフ)の親類ベクザット(アスカット・スライマノフ)がやってくる。目的は、国会議員に立候補するための票集め。エセン村長(アサン・アマノフ)は長老たちに、彼が土地を狙っていると警告する。ある夜、マンスールとともに酔っ払った明り屋さんは、電柱に登って感電してしまう。意識を取り戻すと、目の前で美女が微笑んでいた……。村長はベクザットからの票集めの協力を拒否したものの、明り屋さんはベクザットに“川向こうの渓谷に風車を設置して村の電力を賄う”という自分の夢を打ち明ける。その計画に力を貸す約束をするベクザット。やがて、エセン村長が亡くなると、ベクザットの推薦もあってマンスールが新村長に就任。マンスールとベクザットが中国の投資家を招くことになり、明り屋さんは大型テントに照明を設置する。だが、マンスールとの関係は以前と違ってギクシャクしていた。明り屋さんは、感電したときに出会った美女が村の老女の孫娘で、生活費のために身を落として働いていることを知る。その彼女が投資家の接待に現れ、裸にされる姿を見て、堪らず止めに入る。だが、彼女はそれを拒否。明り屋さんはベクザットの部下に殴られ、川に捨てられる。強い風が吹き、明り屋さんの風車が力強く回り出し、電球に明りが灯る。勢いよく自転車を漕ぐ人影があった……。