映画が誕生して以来のもっとも大きな衝撃と改革であるヌーヴェル・ヴァーグとは、多くの映画を見ることで映画を作り始めたシネフィルたち、すなわち映画の新世代である。批評家であると同時に監督である彼らが生み出した、書くことと撮ることの相互作用によるユニークな作品群は、映画史最初のムーヴメントであり、現代人が生きる世界を現在形で様式化したものだった。1959年5月、カンヌ国際映画祭で上映された「大人は判ってくれない」はセンセーショナルを巻き起こす。この1本の映画でヌーヴェル・ヴァーグの名を世界に知らしめたフランソワ・トリュフォーは、同映画祭で監督賞を受賞する。その直後、ジャン=リュック・ゴダールが「勝手にしやがれ」を発表する。ヌーヴェル・ヴァーグの評価は確固たるものとなり、2人の友情は永遠に続くかに見えた。しかし1968年の5月革命を境に、歴史と政治が2人を引き裂いていく。ゴダールは政治にのめり込み、トリュフォーは映画職人の道を選ぶ。そしてトリュフォーの分身といえる俳優ジャン=ピエール・レオは、2人の間で運命を翻弄される……。「大人は判ってくれない」のカメラテストを受けるレオ、演出の細部について語るトリュフォー、商業映画から身を引いていた頃のゴダールの姿など、貴重な映像で構成している。