アフリカ大陸にあるケニア共和国。独立を勝ち取り、イギリスの植民地支配から解放されて39年。2003年、ついに政府が無償教育制度をスタートした。田舎の小学校の前に押し掛ける何百人もの子供たち。その中にはただ一人、84歳の老人の姿もあった。彼の名はマルゲ(オリヴァー・リトンド)。今まで教育を受ける機会がなかったマルゲは、“文字を読みたい”という一心から何キロもの道のりを学校まで歩いて来たのだ。とはいえ、老人であるマルゲが小学校に通うことは認められない。周囲の人々にからかわれながらも通い続け、門前払いされる日々を繰り返す。やがてその情熱に突き動かされた校長のジェーン(ナオミ・ハリス)は、周囲の反対を押し切って彼の入学を認める。子供たちに混じって、初めて学ぶことの楽しさを知るマルゲ。ジェーンも次第に彼の良き理解者となってゆく。とはいえ、彼の毎日は楽しさだけに彩られたものではなかった。50年前の悪夢が毎夜、彼を苦しめ続けていたのだ。独立戦争の兵士として闘う中で、愛する妻子や仲間を目の前で虐殺され、強制収容所で拷問を受けた日々……。過去に打ち勝つため、未来を変えるため、マルゲは勉強を続ける。その情熱は、歴史を知らない幼い級友たち、そして政府までをも動かしてゆく。