毎朝のジョギングとポエム作りに励むスザンヌ・ピュジョル(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、優雅で退屈な毎日を送るブルジョワ主婦。結婚30年になる夫のロベール(ファブリス・ルキーニ)は雨傘工場の経営者で、スザンヌには仕事も家事もやるなと命令する典型的な亭主関白だ。娘のジョエル(ジュディット・ゴドレーシュ)は、父親が秘書のナデージュ(カリン・ヴィアール)と浮気しているのは「パパの言いなりのママのせい」だと非難する。一方、息子のローラン(ジェレミー・レニエ)は芸術家志望。工場を継ぐことには全く興味がなく、異母兄妹かもしれないとも知らず、父親の昔の浮気相手の娘と恋愛中だ。そんな中、雨傘工場はストライキに揺れていた。労働組合の要求を断固拒否したロベールは社長室に監禁され、それを知ったスザンヌはその昔、短くも燃えるような恋に落ちた市長のモリス・ババン(ジェラール・ドパルデュー)に力を貸してくれと頼みに行く。今でも彼女のことが忘れられないババンの尽力でロベールは解放されるが、ストのショックで心臓発作を起こし倒れてしまう。そんな騒動の中、何も知らないスザンヌがいつの間にか工場を運営する羽目になる。しかしスザンヌは、その明るく優しい性格で従業員たちの心を掴んでいくのだった。組合との交渉で、創業者の娘でもある彼女は、父親の代から勤める従業員たちに対して家族のような思いやりを持って接し、ストは終結。今やスザンヌの主婦目線による自然体の経営方針が次々と花開き、工場は見違えるように業績を伸ばしていた。ジョエルとローランも母親をサポートし、ナデージュさえスザンヌに心酔している。だが、やっと自分の人生を歩き始めたスザンヌのもとに、退院した夫が帰ってきた……。