「第1楽章、こんな事ども」地中海を航海中のゴールデン・ウェブ号には、様々な人が乗っている。ルワンダのキガリからヨーロッパに戻る写真家マチアス(マチアス・ドマイディ)とコンスタンス(ナデージュ・ボーソン=ディアーニュ)、黄金の時計に興奮している少年リュド、フランスの国際諜報官フォンテスなど。スペイン内戦時の1936年頃、共和政府はコミンテルンに大量の黄金を託しバルセロナから出発させたが、オデッサで3分の1、モスクワで3分の1がなくなるという事件があった。事件の鍵を握る老ゴルトベルク(ジャン=マルク・ステーレ)、その孫アリッサ(アガタ・クーチュール)、秘書らしき女性フリーダ(マリー=クリスティーヌ・ベルジエ)も乗船している。ロシアの女捜査官オルガも、同じ事件の謎を追う。その他、ハイファ出身の女性レベッカ、パレスチナの女性、“フランスのジェームス・ボンド”ことマルビエ、アメリカのロック歌手パティ・スミス、ギターのレニー・ケイ、経済学者ベルナール・マリス、パレスチナの歴史学者エリアス・サンバール、無人のホールで幾何学の講演をする哲学者アラン・バディウら乗客たちは、船上で知り合い、謎を深めあっていく。「第2楽章、どこへ行く、ヨーロッパ」スイスに近いフランスの片田舎で、マルタン一家はガソリン・スタンドを営んでいる。両親(クリスチャン・シニジェ、カトリーヌ・タンヴィエ)のどちらかが地方選挙に立候補したため、TVクルーが取材にやってくる。1789年の革命で旧勢力が失墜した8月4日生まれの長女フロと弟リュシアンは、子供も選挙に立候補してよいはずと主張している。2人は毎年誕生日の夜に子供法廷を開き、動物たちを前に、博愛、自由、平等について議論する。「第3楽章、われら人類」ゴールデン・ウェブ号は、エジプト、パレスチナ、オデッサ、ギリシャ、ナポリ、バルセロナと、人類の歴史を築いた地を巡り、伝説を検証する。